BMW E90系335i

相変わらず海外メーカーROMのいい加減さが見られた仕事でした。あるショップのデモカーでしたが某何チャラというメーカーのデータがインストールされていると言うことで現状は「低・中速のレスポンスの悪さ、トルクがアクセルに対しリニアに反応しない。高回転の伸びがいまいち。お客のオリジナル車の方が乗りやすい？？」と言った内容です。作業前にレスポンスを確認しましたが大半の有名ドイツメーカーとされるＤＭＥと全く変わらないオリジナルでした。

では作業開始！まずはインストールされたデータをオリジナルとしてバックアップを取るため読み出し開始。読み出して当社所有の完全オリジナル車のデータと比較！
わかりきっていたことでしたがユーザー方よもう賢くなった方が良いですよ。日本人はどうも変なコンプレックスがあるのかドイツのチューナーがデータ作りをしていると聞くと飛びついてしまう。しかし中身は完全に日本人を思いっきり馬鹿にしたデータがインストールされています。

まずはスピードリミッターが切られていない。オーナー曰くある一定速度から伸びきらないというのはこのことです。SIEMENS MSD80.x/MSD81.x/MSV80.x系のスピードリミッターは数カ所のブロックに分かれ最大値入力によりプログラム回避状態になり解除になります。

ＲＥＶはオリジナルです。きっとアドレスが理解できていなく変更できないのでしょう。ＢＭＷは車種によってはＲＥＶを引き上げるとＡＴ側がエマージェンシーモードになりますが３３５ｉはＲＥＶを上げシフトゲートシフトでサーキットの際に有効な場合があります。後、ＲＥＶを引き上げることによりＡＴの指定ＲＥＶで燃料カットが入らないため引き上げは必要です。

要求トルク及びＤＢＷも全くノーマルです。これでは乗り味、トルクの立ち上がり、トルクのフラット化は望めません。高回転前までは全くノーマルと同じ乗り味でＡＴもシフトのたびに落ち込むと言ったストレスを感じる３３５ｉなのです。

点火ＭＡＰ、燃料ＭＡＰもオリジナルです。たぶん燃料ＭＡＰは理解できていないと思います。３３５ｉを含めＢＭＷの燃料ＭＡＰは深く理解しないと変更できません。後、点火時期を変更していないのは解せません。オリジナルはびっくりするくらい高回転での点火時期が低くオリジナルブーストでも排気温度が非常に高い状況です。適切な点火時期をインストールすることにより排気温度が下がりタービンのパフォーマンスも上がり経年劣化次期も延びます。

ブーストＭＡＰは変更されています。要するにドイツの何チャラという有名なデータはリミッターを切らず、ＲＥＶも理解しておらず、点火や燃料も理解できておらず、要求トルクやＤＢＷの整合性も取らずブーストだけを上げて何十馬力上がりましたと自慢している。最大のおばかコンピューターメーカーです。パワーも大事です。しかし、重要なのは最大パワーまでのプロセスが大切なのではないでしょうか？それと、ブーストを上げなくてもパワーは上がります。ＧＯＬＦ５はオリジナルブーストのままで中間４０Ｐｓ、高回転で２４Ｐｓ上がります。Ｍｉｎｉのスーパーチャージャーはオリジナルプーリーで２４Ｐｓ上がります。この事例は国産を含め今はリスク無しの条件なのです。結果、当然トルクが大幅に上がらないとこの結果は達成出来ませんからトルク重視のでパワーを引き上げたデータは乗りやすくどの回転域からもアクセルに反応し、限りなくフラットトルクで高回転まで気持ちよく回る仕様になります。ブーストだけを上げて何十馬力上がりましたしか語れないＤＭＥチューニングは現行エンジンには適応しませんし結局は何もしてないインストールデータなのです。
この何チャラチューナーのデータはブーストを上げてるだけと言いましたがブーストリミッターも解除していませんしブーストＭＡＰも６面あるのに１面だけ変更して各面との整合性を取っていないですから条件によってはオリジナルに戻ります。後、一番重要な吸気温度補正値を変更していませんから日本の四季によりブーストが安定しない仕様です。要するにブーストに関しても全く理解してないのです。

上記の内容でも「騙しＤＭＥ」にはならないのでしょうか？「見えないから仕方ない」と思わずにどのアドレスをどう変更したか結果どうなるのかデータを語れるのか、インストールしたデータで車がどれだけ「楽しい車に」なるのか！このことを追求しながら購入を考えられた方が良いです。

当社データをインストール後の所見ですがまずエンジンが気持ちよく回っているサウンドに変わった。当然音だけではなくトルクフラットで気持ちよく回る。ＡＴのつながりに変化を感じた。変即時に落ち込みが無く変速後にすぐに加速する。時間の兼ね合いでこれくらいの所見でしたが乗り込んでまたインプレッションするとのことです。